片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「好きだ」

 触れるだけの口づけを交わすと、その唇が首筋に触れる。

「愛している」

 もっとしてほしいと強請るように背中へ回す腕の力を込めれば、首元には鬱血痕が刻み込まれる。

「世界で一番、何よりも……!」

 普段の彼からは想像もつかないほどに狂おしく自分を求める姿を目にして、幸福感に包まれる。
 私の一投足に驚き、不機嫌になったり怒ったりしながら、最終的に仕方ないなって肩を竦めて受け入れてくれる。
 そんな圭信のことが、私は――。

「あのね、圭信。私も、ちゃんと好きだよ」
「愛奈……?」
「言うのが遅くなって、ごめんね。あなたへの想いを伝えられないまま死ぬんだと思った時、すごく嫌だった……」

 言葉にして伝えるべきタイミングは、いくつもあった。

 同棲することになった時。
 圭信と始めて肌を重ねた時。
 入籍した時――。

 夫に抱く好意は確かに本物だったが、彼の異常なまでの愛と同じくらいの気持ちを自分がいだいている自覚がなくて、なかなか言い出せなかったのだ。
 しかし――こうして死の恐怖に直面し、ようやく気づく。
 
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