片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 彼はエレベーターを降りてすぐの部屋――1505号室の扉へ鍵を差し込み、解錠する。

「お邪魔しまーす」
「違うだろう」

 ドアノブを回して扉を勢いよく開け放った圭信に続いて玄関に入れば、ダメ出しをされた。
 どうやら、今の解答がお気に召さなかったらしい。
 こちらを振り返る表情は、視線だけで射殺せそうなほどに恨みが籠もっている。

 そんなに怒られるような発言をした覚えがないからこそ、彼の口から言葉が紡がれるのを待った。

「ここは今日から、君の帰る場所でもある」
「でもさ? 私は一時的な居候だよ? 圭信の家だから、挨拶の仕方は間違ってな……」
「仕事から帰ってきて、毎回先程のような発言をするつもりか」
「駄目なの?」

 こてりと首を傾げて問いかければ、圭信は苦虫を噛み潰したような顔をした。
 どうやら、本気で嫌がっているようだ。

「少なくとも……。僕は、嫌だ。距離を感じる」
「そうかなぁ……」
「愛奈には自分の家だと思って、くつろいでもらいたい」
「じゃあ、えっと……。ただいま?」
「ああ。お帰り」

 ようやくこちらの挨拶に納得した彼は、満面の笑みを浮かべて出迎えてくれた。
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