片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「抵抗、しなくていいのか」

 このまま圭信を受け入れたら、なし崩しに身体だけの関係になるのは間違いない。
 ただ、性に奔走な印象を与えていた学生時代の私とは違って、彼はドがつくほどの真面目で誠実な男だ。
 見境なく女性に襲いかかる人ではないとよくわかっているからこそ――。
 こちらに好意があり、このチャンスをものにしようと目論んでいる可能性にかけてみたかった。

 ――そのあたりは、はっきりさせておくべきだよね。

 こうした経験がないせいで、内心パニックになりそうなほど緊張している。
 そんな気持ちを必死に見せないように、普段通りの挑発的な態度で声を発した。

「圭信ってさ。もしかして、私に気があるけ……」

 しかし、私の疑問は最後まで言葉にならなかった。
 大音量で、2つの別々の着信音が鳴り響いたからだ。
 それは混ざり合って不協和音を奏で、かなりうるさい。
 圭信も胸ポケットに入れた携帯から聞こえてくる音楽に対して眉を顰めていたが、こちらに覆い被さるのを止める気はないようだった。

「電話、出ないの?」
「どうせくだらない用事だ。後でいい」
「そう? じゃあ、私が出ようっと」
「な……っ」
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