片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
真面目で勤勉な圭信が、画面に映る父親の有志を目にして感心した様子を見せるということは、相当凄いことだ。まるで自分が褒められたように感じて胸を張れば、彼は深い溜息を零した。
どこか遠い目をするアンニュイな姿も、かっこいいなぁ……。
目の保養だと満面の笑みを浮かべて観察していれば、その表情の意味を目線で促される。
――ちょうどいい機会だから、聞いちゃおうっと。
スマートフォンの画面を落とした私は、こてりと首を傾げて問いかけた。
「ねぇ、圭信。ずっと気になってたこと、聞いてもいい?」
「内容による」
「どうして私のこと、名前で呼んでくれるの?」
「理由がなければ、呼んではいけないのか」
「んー。そうじゃないけど……」
私達は顔を合わせるたびに、啀み合う関係なのに……。
圭信はなぜか私だけを、名前で呼んでくれる。
――それがずっと不思議で仕方なかったから、問いかけたんだけど……。
「どうでもいいことを気にしている暇があるなら、校則を守ってくれ」
「えー、やだー」
彼はその理由を、説明してはくれなかった。
――残念だなぁと思う気持ちと、これからも愛奈と呼んでくれるんだと言う優越感がごちゃ混ぜになる。
――私だけが、委員長の特別。
呆れたようにこちらを見つめるその表情が。
叱りつけてくる低い声も。
物わかりが悪いことへ不満そうな態度を見せる姿だって、全部私だけのものだ。
――だから。
私はあえて、校則違反をし続ける。
大好きな人と日常的に会話をするきっかけを、得るためだけに――。