片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 彼はこちらがうんざりとした様子で、会話を続けているのが不思議で仕方ないようだ。
 愛奈を自宅に連れ込んだ時点で以前よりはマシだろうと問いかけてきたが、そう簡単に話が前に進んでいけば苦労はしない。

 ――今も昔も。僕が一方的に、彼女を愛しているだけなのだから……。

「あー……。委員長、だいぶ拗らせてるもんなぁー。いつでも触れ合える距離にいたら、そりゃ我慢できずに……」
「まだ、一線は越えていない」
「へ? マジで? 自宅に連れ込んでやることは、1つしかねぇのに?」
「僕も最初は、そのつもりだった。だが……。無理やり手籠めにした結果、嫌われては元も子もないだろう」

 誰に聞かれているかわからぬ場所で、このような下世話な会話を続けるなど僕の理念に反する。
 しかし、このまま1人で抱え込み続けていたら、壊れてしまいそうなほど精神的に不安定な状態であるのは事実だ。

 彼の好意を突っぱねるのもどうかと考え、木賀との雑談に付き合ってやる。

「今の豊臣って、自宅へ泥棒に入られて弱ってんじゃねーの?」
「いや、まったく。ピンピンしているが……」
「あー。そりゃ、どうしようもねぇわな」
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