片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 加害者と実際に顔を合わせたわけではなかったからか。
 愛奈は意外にも、普段通りの天真爛漫な様子を見せている。
 それを素直に打ち明ければ、彼にも想像がついたのだろう。
 肩を竦めたので、こちらも頷いて同意を示す。

「ああ。僕達の関係は、どうやっても進展しそうにない」
「そうかぁ? 自宅に連れ込めた時点で、年1の連絡しか出来なかった委員長的には大進歩だろ」
「どうだかな……」

 同棲をするのがゴールだったら、どれほどよかったことか。
 僕はまだ、スタートラインにすら立っていなかった。

 親身になってくれる同級生の委員長と言う幻想を打ち砕き、男として見てもらえるように精進しなければ――関係の進展など不可能だ。

 はたして、このまま1つ屋根の下で暮らし続け、彼女と心を通じ合わせるなんてできるのだろうか? 

 僕にはそれが、不安で堪らない。
 暗い顔で俯けば、純粋な疑問を感じた木賀から心配そうに覗き込まれた。

「なんだよ? 勢いで同棲を始めたこと、後悔してんの?」
「いや……」
「はっきり言えって」
「ベッドが1つしかないのを口実に、2人で添い寝をするようになったのだが……」
「ほぉん?」
「彼女は僕のことを、抱き枕程度にしか思っていない。この状況で、これからどうやって関係を進展させていいのか……」
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