片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「豊臣先輩も、ついに被害を受けたみたいですねー」

 ロッカールームで私服に着替え終え、これからミニ同窓会の会場に向かうと圭信へ連絡を取ろうとした時だった。
 私を心配していた後輩に、声をかけられたのは。

「あー。うん。そうなんだよね……」
「やっぱり! 通常通りに出社してきて、大丈夫なんですか?」
「全然! 平気です!」
「へー……」

 美久ちゃんはなぜか納得がいかない様子で、こちらをじっと見つめている。
 シフトに穴を開けたほうがよかったのだろうか? それにしては、様子がおかしいような……。

「また被害に遭ったら、大変ですもんね。皆で協力して……」

 彼女が何かを言いかけた言葉は、最後まで耳に入らなかった。
 ピコンと気の抜けた音が聞こえた直後、想い人からメッセージが送信されてきたからだ。

『駅で待っている』

 伊達に学生時代から、彼と言葉を交わしていない。
 主語が抜けた文字の解読は、お手の物だ。
 これは、一緒に居酒屋へ向かおうと言う圭信のお誘いメッセージに違いない。
 私は慌ててスマートフォンをカバンの中へ突っ込むと、満面の笑みを浮かべて後輩に別れを告げた。

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