片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「あ、待ってください! 豊臣先輩……!」

 女性の静止を振り切り、バタバタと慌ただしく職場をあとにする。
 彼を長時間待たせたら、何を言われるかわかったものではない。
 さっさと合流しなければと、焦っていたからだ。

 従業員センターから出て最寄り駅に向かった私は、キョロキョロとあたりを見渡す。
 帰宅ラッシュが始まっているからか、そこは人でごった返していた。

 ――圭信、どこだろう? 高身長だから、すぐに見つかると思うんだけどな……。

「お兄さん、お1人ですか?」

 そんな中、大声で騒ぐ女子高生の集団が目に入った。
 パン屋の壁に背をつけて両腕を組む男性の姿は、足の長さが強調されていて一際輝いて見える。

「めちゃくちゃかっこいいですね! あたしたちと、お茶しません?」

 逆ナンをされている男性がどんな顔をしているのか気になった私は、視線を上に向け――彼と視線を交わらせた。

「断る」

 灰色のジャケットに黒色のスラックスとローファー。
 ワックスを使って丁寧に整えられた黒髪。
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