片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 肘の主を睨みつけたあと、私の身体を自分の所有物だと言わんばかりに抱きしめる力を強めた。

「今のは、こうやって話している声がうるさいって注意を……」
「なんでもかんでもいい方向に考えるのはよくないと、いつも言っているだろう」
「えー? ネガティブよりは、マシでしょ」
「どちらもあり得ない。危険から身を守るためには……」
「あー、はいはい。わかりました。私が悪かったです。ごめんなさい!」

 このまま圭信のお説教を聞いていたら、乗り過ごしてしまいそうだ。
 こう言うときはさっさと謝って、彼の怒りを鎮めるのが一番だ。
 そう思って謝罪をした直後、電車がガタンと勢いよく右側に揺れた。

「わ……っ」

 彼が抱きしめてくれたおかげで、倒れずに済んだが……。
 1人であれば、大変なことになっていただろう。
 ジャケットの上からわかるほど逞しい胸板を握りしめた私は、お礼を言うために圭信を見上げてーーそして、ある異変に気づく。

 冷静沈着な彼の唇は真一文字に引き結ばれ、何かを堪えるように瞳を揺らしていたのだ。

「圭信? どうしたの?」
「僕は今、地味な服装を心がけるように口を酸っぱくしていい続けなかったのを、猛省している……」
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