片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 苦しそうに言葉を吐き出した圭信は、すぐさま視線を逸らした。
 彼が何をいいたいか、さっぱり理解できない。
 私は彼のガッシリとした上半身に胸元を押しつけながら、意地でも目を合わせてやると躍起になる。

「ねぇ。無視しないでよ。圭信さーん?」
「く……っ」

 何度も背伸びをしていれば、苦しそうな呻き声とともに上半身をくの字に曲げた。
 私の肩に頭をくっつけて荒い息を吐き出す彼の様子は、どうもおかしい。
 私は圭信の額に掌を当てて、熱を測った。
 しかし、そこにはなんの異常も見られない。

「うーん……。人混みに、酔ったのかな……?」

 彼は苦しんでいるのに、このまま居酒屋に向かうのはよくないだろう。
 目的地まではあと2駅だが……。
 一度途中下車をしたほうがいいかもしれない。

「1回、電車……」

 そう考え、圭信に提案しようとした時だった。

「僕を一体、なんだと思っているんだ……!」

 怒気を孕んだか細い声が聞こえたかと思えば、瞳の奥底に隠しきれない欲情の色を見え隠れさせた彼と目が合ったのは。
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