片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「君はあまりにも、無防備すぎる……っ!」
「え? 何が……?」
「いや、違う。おかしいのは、僕の方だ。こんなところで……。誘われているようにしか見えない、など……」

 彼は意味不明な言葉を口にしたあと、背中に回した腕の力を強めた。
 圭信とますます密着する羽目になったが、ここは満員電車の中だ。
 それを嫌がったら、見知らぬおじさん達と肌を触れ合わせることにもなりかねない。
 だから、抵抗はせずにじっとしていると決めたんだけど……。

「生理、現象だ……」
「あー、ね……。どんまい……! こう言うことも、あるよ……!」

 彼は苦しそうに低い声で呟く。
 私は声を裏返らせながら、引き攣った笑みで笑い飛ばす。

 こう言うとき、自分はどうするのが正解なのだろうか? 
 見なかったふりをして、密着するのを止めるべき? 

 このチャンスを、逃したくない。
 もっと圭信に、私を求めてほしい。

 悩んだ挙げ句、私が出した結論はーー。

「ごめん。離ーー」
「駄目だ」

 向かい合って密着しているせいで彼を欲情させてしまうのなら、横並びになったほうがいい。
 そんな考えとともに人と人の隙間を起用にすり抜けて立ち位置を変えようとすれば、圭信に拒否されてしまった。
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