片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 圭信はおもむろに取り出した名刺ケースから1枚のカードを取り出すと、それをこちらの手に握らせる。
 そこには彼の名前と、所属が記載されていた。

「警視庁刑事部捜査第3課第3盗犯捜査第5課管理官。警視戸川圭信……。何これ。呪文じゃん……」

 有名コーヒーショップのカスタム注文と同じくらい長ったらしい肩書きに、一目見ただけでも辟易する。
 木賀くんの名刺もこんな感じなのだろうか? 興味本位で見比べたかったが、圭信が受け取ってほしくないと考えているなら仕方がない。
 彼と険悪な雰囲気になりたくなくて、小さな紙を同級生に返却した。

「文句を言われても、どうにも出来ない。諦めろ」
「改善してほしいわけじゃないから、いいんだけどさー。圭信が警察官になるなんて、びっくりだよね」
「そうか? 曲がったことが許せない、委員長らしいと思うけどな」
「ええー? 学生時代は、検事、弁護士、お医者さん。このうちのどれかになるんだとばっかり思ってたのに……」

 私がモヤモヤとした気持ちをノンアルコールビールで胃の中へ流し込めば、怖いくらいに無表情な圭信の口からか細い声が紡がれた。

「愛奈のイメージと今の僕には、乖離が見られるようだ」

 それは残念そうにも、呆れを含んでいるようにも聞こえる。
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