片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 彼はほっとした様子を見せたあと、呼び鈴に向かって大きな手を伸ばす。
 ――もしかして、追加注文しようとしてるの? 

「ちょっと待って!」

 私は慌てて彼が居酒屋の店員を呼ばないように、呼び鈴を両手で覆い隠してそれを阻止する。
 その直後、圭信の大きな指が私の手の甲へ触れた。

「愛奈の手は、小さいな」

 手を撫でる指の動きがやけにいやらしい。
 くすぐったさのようなものを感じてビクリと怯えた私は、彼の指先が小刻みに震えてるのを確認して真っ青になる。

 ――これって、アルコールの禁断症状だよね!? 
 これ以上飲酒したら、救急車で運ばれれてしまう。

「圭信! 帰ろう!」

 これは大変だと慌てた私は、彼に退店を促す。
 だが、圭信はそっぽを向いてそれを拒否した。

「嫌だ。物わかりの悪い愛奈の言うことは、聞きたくない」
「何それ!?」
「僕に愛を囁いてくれたら、考えてやってもいい」
「ええ……?」

 幼馴染コンビがいる前で好きだと伝えるのは、なんだか恥ずかしい。
 それに、彼は酔っ払っていて正常な判断ができない状態だ。
 こんな状況で愛を囁いたって、明日には綺麗さっぱり忘れているかもしれない。
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