片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 彼らは満面の笑みを浮かべてひらひらと手を振り、私達を送り出した。

 ――くそう。他人事だと思って……! 

 あっち側で面白おかしく他人の恋路を見守っていたかったが、こうなってしまった以上は仕方がない。
 私達はタクシーを捕まえるため、近くの停留所に向かって歩き出そうとたのだが……。

「乗り場はどこだ。こっちか」
「圭信! 逆! あっちだよ!」

 圭信が千鳥足で真逆の方向へ歩き出そうとしたので、慌てて止める。
 紡がれる言葉こそはっきりしているものの、明らかに様子がおかしい。
 こんな状態の彼を放っておいたら、突然車道へ飛び出して衝突事故を起こしそうだ。

 ――ちゃんと圭信のこと、捕まえておかなくちゃ……! 

 危機感を感じた私は、想い人がどこかへ行かないように腕を組んで密着した。

「ああ……。僕は今、夢の中にいるのか……?」
「え、何。どうしたの急に」
「愛奈と腕を組んで、歩いている」
「捕まえてないと、追いかけるのが大変だからね」
「ずっとこうして、隣を歩きたかった」

 彼は一体、何を言っているのだろうか? 

 学生時代、私達はこうして何度か密着し合っている。
 圭信と少しでも心を通わせたくて、嫌がる彼に無理やり迫ったからだ。
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