片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「圭信、着いたよー」

 彼は私の言いつけを守り、タクシーから降りても終始無言を貫いている。

 なんのトラブルもなく圭信が暮らすマンションへ戻ってきたことにほっとしながら靴を脱いで、廊下に一歩足を踏み入れた時だった。
 玄関ドアが閉まり、オートロックが作動した直後――苦しそうに唇を噛み締めた圭信が、震える声を吐き出したのは。

「愛奈にとって僕が、恋愛対象外の自覚はある」
「あ、うん……」
「だが、僕は愛奈が好きだ。抱きたい」
「それは、さっきも聞いたけど……?」
「愛奈がいなければ、僕は生きていけなかった」

「抱きたい」と「死ぬつもりだった」の関係性がわからず首を傾げれば、こちらを見下す彼の目が据わっていることに気づく。

 ――もしかして、ストレートに思いを伝えても関係の進展が望めないから、泣き落とし作戦に変更したかな? 

 こんな重い話を打ち明けられるくらいだったら、今まで通りどストレートに迫ってくれたほうがよっぽどいいんだけど……。

「愛奈は僕の太陽だ。誰にも触れて欲しくない」
「ええっと……」
「君に醜い欲望をぶつけていいのは、僕だけだ」

 そんな心の叫びを読み取ったのか。
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