片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 彼は両手を広げて、私を受け入れる体制に入った。
 このまま圭信の胸に飛び込んで行ったら、間違いなく一線を超える羽目になるだろう。

「僕なしでは、生きられないようにしてやる」

 ――素面の状態であれば彼の口から飛び出てくるはずのない発言の数々に、私は喜ぶよりも面食らってしまう。

 圭信の想いに応えるのは、簡単だ。
 だけど、この人は大事なことをわかっていなかった。
 それを理解してもらわなければ、とてもじゃないが肌を許せない。
 いつまで経っても自身の胸に飛び込んでこない自分に苛立ちを募らせる彼に、私は言葉を選びながら問いかけた。

「盛り上がってるところ、悪いけど……。肉体関係を持ったら、友達には戻れないよ?」
「……君に想いを告げた時点で、戻るつもりはない」

 酔っ払っているから、てっきり正常な判断ができていないとばかり思っていたのに……どうやらそのあたりはすべて、想定済みのようだ。
 もしかすると彼は、アルコールの力を借りなければずっと心の奥底に押し留めていた感情を曝け出せないほどに臆病だったのかもしれない。

 ――そんなところも好きだなと思う反面、こんなふうに肌を重ねて彼はあとで後悔しないのだろうかと心配してしまう。
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