花かげに咲く、ひとひらの恋
「陛下は、良き妃をお迎えになりましたね。あなたのような方が来てくださって、有難く思っています。」

霞様はそう言って、やわらかく微笑んだ。

私の心に、その言葉はまるで刺のように響いた。

思わず、私は首を横に振った。

「……愛されない妃など、何が有難いのでしょうか。」

自分でも、なぜそんな言葉を口にしてしまったのか分からない。

でも、嘘はつけなかった。

霞様は一瞬だけ、表情を曇らせた。

けれど、それ以上何も言わず、ただ静かに目を伏せた。

その沈黙が、何よりも痛かった。

「皇帝陛下には、あなたの元へ訪れるように、伝えておきます。」

――その一言が胸を刺した。言われなければ来ない妃。

霞様の言葉は優しさに見えて、皇后としての揺るぎない“特別”を滲ませていた。

私はただ、惨めだった。
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