花かげに咲く、ひとひらの恋
でも。

でも、私には――

それが、あまりにも残酷だった。

ここに来なければよかったと、思った。

恋などしなければよかったと、思った。

けれど心は、どうしてもその方を想ってしまう。

あの方の目に、私が映る日は来ないのだろうか。

この恋は、始まる前から、終わっていたのだろうか。

そして私は、ついに――

皇后である蒼・霞様と、正式に面会することになった。

ひと目見て、その方の持つ気品に圧倒された。

柔らかく笑む口元、凛とした佇まい。

すべてが、皇后の名にふさわしかった。

「――皇后の、蒼・霞です。よろしくね」

「こちらこそ……よろしくお願い申し上げます」

言葉を交わす間、私は目を合わせることができなかった。

この方は、私の初夜を奪った人――

そう思ってしまった自分が、たまらなく嫌だった。

でも、あの夜の記憶は、どうしても霞様の姿と重なってしまう。
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