花かげに咲く、ひとひらの恋
お目見えの日。
春の光に照らされて、庭の花々はたおやかに咲いていた。
宮殿の奥庭に、仮の席が設けられていた。
そこに――蒼国の皇帝陛下、**蒼 光(そう・こう)**様がお座りになっていた。
緊張が、胸の奥でひたひたと湧き上がる。
あの方に気に入っていただけなければ、私はただの「妃のひとり」として、後宮の片隅に一生、影のように過ごすことになる。
私と父は、ゆっくりとその御前へ歩を進める。
「皇帝陛下。大臣・林啓の娘、**蕾花(らいか)**にございます。」
私は深く頭を下げた。視線を足元に落としたまま、息を整える。
そして、静かな声が降りてきた。
「――顔を上げよ。」
その一言に従い、そっと顔を上げた瞬間だった。
視界に映ったのは、威厳と静けさをまとった若き帝の姿。
その瞳が、まっすぐに私を見ていた。
胸の奥に、小さな波が立った。
名も告げただけの一瞬――けれど確かに、心が揺れた。
それが、私の恋の始まりだった。
春の光に照らされて、庭の花々はたおやかに咲いていた。
宮殿の奥庭に、仮の席が設けられていた。
そこに――蒼国の皇帝陛下、**蒼 光(そう・こう)**様がお座りになっていた。
緊張が、胸の奥でひたひたと湧き上がる。
あの方に気に入っていただけなければ、私はただの「妃のひとり」として、後宮の片隅に一生、影のように過ごすことになる。
私と父は、ゆっくりとその御前へ歩を進める。
「皇帝陛下。大臣・林啓の娘、**蕾花(らいか)**にございます。」
私は深く頭を下げた。視線を足元に落としたまま、息を整える。
そして、静かな声が降りてきた。
「――顔を上げよ。」
その一言に従い、そっと顔を上げた瞬間だった。
視界に映ったのは、威厳と静けさをまとった若き帝の姿。
その瞳が、まっすぐに私を見ていた。
胸の奥に、小さな波が立った。
名も告げただけの一瞬――けれど確かに、心が揺れた。
それが、私の恋の始まりだった。