江戸JK

16

朋菜は今日も、いつもの如く畑仕事をこなす。

その時、どこからか人々の叫び声が聞こえてきた。

「何!?」

松前も友樹も駆けつけてきた。

「朋菜!」

「朋菜様!」

「何が起こってるの!?」

「どうやら、江戸市中の米屋が襲撃されたようです」

実際、江戸に行ってみると、そこは無残な程に荒れていた。飢饉で餓死した人たちの死体や、襲撃されて荒れ果てた米屋もあった。

「どうなってるの…?」

「囲米に使われていた、社倉とかも無くなってるな…」

その時、1人の農民らしき人が朋菜達の前に来た。その農民はガリガリに瘦せている。

「そこの…。私達に、何か食べるものを…」

朋菜は悩んだ。自分は今、食べ物を持っていない。持ってる食べ物といえば…飴しかない。

飴で腹は膨れるのだろうか。朋菜にはさっぱりわからなかったが、とりあえずその飴を農民に渡した。

農民は飴を少し観察してから、その飴をがっつき始めた。

友樹が突然尋ねた。

「朋菜、大丈夫か」

「何が?」

「いや、朋菜の分が無くなるんじゃないかって」

「大丈夫。飴は何個でもあるから」

松前が口を開いた。

「朋菜様、どこでそれを…?」

「私、いつも飴を持ち歩いてるの」

それを偶然聞いていた農民は、「もっと飴をくれ!」と朋菜にせがんでくる。

「もう持ってません!やめてください!」

そして朋菜は農民から逃げ、家屋に戻った。
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