【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
ウソッ! しっかりセットしてきたのになあ……。崩れちゃったか。
今日ちょっと風もあるから、仕方ないかな?
「でも髪が跳ねてる菫花さんも、かわいいよ」
「えっ?」
「かわいいよ」と言われたことにびっくりした私は、思わず眞紀人くんを見つめてしまうのだった。
「菫花さん……?」
「……か、かわいいだとか、年上をからかっちゃダメよっ!」
これは私の精一杯の強がりだった。 本当は男の人に「かわいい」と言われたのが久しぶりだったから、ちょっと照れてしまった。
そう言えば……最後に文晶にかわいいって言われたのは、いつだったかな。 結婚してからは、あまり言われた記憶がない気がする。
それに結婚してからは「好きだ」とか「愛してる」とも言われた記憶が、文晶にはない。 少なくとも私から言うことはあったかもしれないけど、文晶から言われた記憶が思い出す限りはない。
「もしかして、元旦那のことでも考えてた?」
「えっ……?」
顔を覗き込まれことに驚いたけど、それ以上に驚いたのは、私が今頭の中で文晶のことを考えていたことを見透かされてしまったからだ。
どうしてわかったのか……謎だ。
「やっぱり、そうなんだ」
「ご、ごめんなさい。 あの、決してそういうつもりじゃなくて……」
私は今何を言おうとしているのだろうか。 誤解されてしまっているということを弁解したいのか、それとも……。
「そういうつもりじゃないなら、なに?」
あれ……ちょっと、怒ってる? え、怒ってる……?
でもこのまま誤解されたままと言うのはイヤなので、せめて誤解は解きたい。
「あ、あの……怒らせたらごめんなさい。 その、かわいいって言われて、びっくりしただけなの」