【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
お父さんに見送られた私たちは、静かに病室を出た。
「父さん、嬉しそうだった」
「そっか」
歩きながら眞紀人くんは「これで父さんも、少しは安心してくれたと思う」と話していた。
「安心、出来たと思うよ」
「ああ。……もうそろそろ、かもな」
そのふとした言葉に私は「眞紀人くん……」と眞紀人くんを見つめる。
「大丈夫。覚悟はしてるから」
私は眞紀人くんの手をギュッと握りしめると、「……私がそばにいるから、大丈夫だよ」と声を掛けると、眞紀人くんは「ああ、ありがとう」と静かに微笑む。
「眞紀人くんは、お父さん思いなんだね」
「え?」
「表情からわかったよ、お父さんのことが好きなの」
こんなに素敵なお父さんに恵まれた眞紀人くんは、幸せ者だったんだと思う。
「まあ、世界でたった一人の、父親だしな」
「そうだね。……最愛の家族、だもんね」
眞紀人くんは「ありがとう、菫花さん」と微笑むと、再び私の手を握り直して「菫花さん、行こうか」と歩き出した。
「菫花さん、まだ今日時間あるなら、今日のお礼に俺にランチご馳走させてくれない?」
「えっ?」
ら、ランチ……?
「いやいや、そこまで気を遣わなくて大丈夫だよ! 元々そういう約束だったじゃない」
恋人のフリをしてほしいってことをこっちもお願いしている訳だから、そんなこと気にしなくても大丈夫なのに……。
「俺、菫花さんともっと話したい。 もうちょっと、一緒にいたいんだけど……ダメかな」
「あ、いやっ……」
そ、そんな子犬みたいな目で訴えられたら、断れなくなる……。断るのが申し訳ないくらいになる。
「ダメじゃ……ないよ」
「本当?」
「……うん」