【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
「はい、紅茶」
「ありがとう」
目の前に置かれたティーカップから香る紅茶の香りが、鼻に抜けていくのがわかる。
「砂糖入れる?」
「ううん、そのままで大丈夫」
「わかった。 ランチ、出前取っていい?」
「うん」
スマホを開き、出前サイトを見ながら「何が食べたい?」と聞かれたので、一緒に画面を見せてもらいながら「じゃあ、これにしようかな」とランチに食べたいものを注文してもらった。
「注文したから、来るまでちょっと待ってて」
「うん、ありがとう」
「温かいうちに飲んでいいから」
「うん」
私はティーカップを持ち上げると、淹れたての紅茶を一口口にした。
「ん、美味しい」
「美味しい? 良かった」
私はティーカップを置くと、眞紀人くんに「あのさ、さっきの話の続き、なんだけど……」と眞紀人の方を向いた。
「うん。 ゆっくりでいいし、話したくないことは話さなくていいから」
私は「ありがとう」と深呼吸をすると、「文晶のこと、話すね」と口を開いた。
「文晶とは、付き合って一年で結婚したの。……私にとって、文晶は初めての彼氏だったの。プロポーズされた時は嬉しくて、すぐにOKして結婚したんだ」
「……そっか。 アイツ、菫花の初めての彼氏だったんだ」
「うん。恋愛に疎い私にとって、文晶が何もかも初めての人だったの。……だから多分、文晶は私なら何をしても許してくれるって、そう思ったのかもしれないね」
眞紀人くんはただ黙って私の話を聞いてくれた。
「最初は私も気付くことがなかったんだ。 文晶は元々仕事が忙しかった人だし、出張とかも多かったから……何にも気付かなかった。 私、鈍感だったんだよね」