【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!


 きっと眞紀人くんは、こんな私に引いたかもしれない。そう思ってしまった。

「私……お茶取ってくるね」

 立ち上がった時、眞紀人くんが私を後ろからギュッと抱きしめてくる。

「えっ……?」

「忘れろだなんて、酷なこと言わないでくれる?」

「え、なんで……? だって、引いたでしょ……?」

 なのにそんな私に優しく、眞紀人くんが「引く訳ないから。 俺だって、同じ気持ちなんだから」と髪を撫でながら言ってくれる。

「……そう、なの?」

「そうだよ。……本当は、あの時菫花さんのこと抱きたかったし」

 眞紀人くんの気持ちを知ったからこそ、私はあの時の続きをしてほしいと言えた。

「俺と菫花さんは、もう本当の恋人だよ。 恋人なんだから、何も遠慮することなんてない」

 私は眞紀人くんの手を重ねるように握ると「うん」と頷いた。

「……あの、お風呂、先に入ってきてもいいかな?」

「じゃあ、一緒に入る?」

「いや、大丈夫っ! 一人で入るから」

 いきなり一緒にお風呂だなんて、ハードルが高すぎる。 文晶とだって、一緒にお風呂に入ったことないのに……。
 そもそも、付き合ってた時は何度も身体を重ねてた。 文晶はいつも優しく抱いてくれたし、その時はいつも「好きだよ」って言ってくれていた。
 
「じゃあ、お風呂入ってる間に俺片付けちゃおうかな」

「い、いいよ。 私やるから、気にしないで」 

「いいって。俺がやるから、ゆっくりお風呂入ったてきなよ」 

「……本当? ありがとう」

 だけど結婚して半年過ぎた辺りから、私たちは夫婦の営みが少しずつなくなっていって、いつしかセックスレスになっていた。
 文晶は、いつも仕事が忙しいことを理由にしていた。
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