【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
「眞紀人くん、本当にあの時……助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」
私たちはベッドから抜け出すと、服を着替える。
「菫花さん、シャワー浴びてきていい?」
「うん、いいよ。使って」
「ありがとう。借りるね」
眞紀人くんがシャワーを浴びている間に、私は洗濯物を畳んでクローゼットへとしまった。
「朝ごはん、何にしようかな」
普段から朝ごはんは食べるけど、今日は二人だし……ちょっと贅沢にピザトーストでも作ろうかな。
食パンも余ってるし、ケチャップもベーコンもマヨネーズもあるし、ピザトーストが作れる。
「眞紀人くん、喜んでくれるかな」
文晶はいつも朝が早かったけど、朝ごはんは食べない人だった。 朝ごはんを作った時くらいは食べてほしかったけど、その時も食べてはくれなかった。
お昼のお弁当も、食堂があるからわざわざ早起きして作らなくていいと言われていたし。
今思うと、私は文晶に対してあまり妻らしいことをしていなかったかもしれない。 本当は文晶のためにお弁当を作ったりしたかったし、朝ごはんだって……一緒に食べたかった。
「菫花さん? どうしたの?大丈夫?」
「え……? あ、うん。ごめん、大丈夫」
私たちはあの時は家族だったのに、家族らしい感じがしなかった。 夫婦だったのに、距離が遠くて手が届きそうなのに届かなかった。
届かないもどかしさから、すれ違ったんだと思う。 もっとあの時、話をすれば良かったと後悔している。
もっともっとたくさん話をしていれば、お互いの気持ちをもっと理解が出来たかもしれない。 夫婦だったのに、心が見えないって……やっぱり寂しいものだった。
そんなの……夫婦とは言えない気がする。