【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!


 眞紀人くんは私に「俺さ、父親が病気で……もう長くないんだ」と口にした。

「病気……?」

「ああ。 癌なんだ、父親」

「……癌?」

 眞紀人くんは近くにあったブランコに腰掛けると、「肺癌だよ、ステージⅣなんだ」と口を開いた。

「今は緩和ケア科に入院してるんだ」

「そう……なんだね」

 緩和ケア科って、確か……。
 
「父親はもう助からないし、いつ死ぬかわからない。 それが明日かもしれないし、一週間後かもしれないし、一ヶ月後かもしれない」 

 自分の父親がいつ死ぬかわからないなんて、イヤだよね……。  

「俺さ、母親がいないんだ」
 
「……え?」
 
「母親は、俺と父親を捨てて出て行ったんだ、俺が二歳の時に」   
 
 眞紀人くんがそんな風に生きてきたことすら知らない私は、何も言えずにいた。

「父親はそんな俺を男手一つで育ててくれたんだ。……だけど俺、見た目こんなだからさ、父親に迷惑ばっかり掛けててさ」

「そう……なんだ」

 眞紀人くんは、お母さんがいないんだ……。お父さんと二人で暮らしてきたんだ。

「父親が病気だってわかったのは、一ヶ月前だった。 でも病気だとわかった時にはもう、すでに手遅れになってた」

「そう……だったんだね」

 眞紀人くんは悲しそうな顔をしていた。

「だから俺さ、父親が少しでも安らかに眠れるように……安心させてあげたいんだ」

「……そっか」

 眞紀人くんは多分、親孝行してあげたいんだろうなって思った。 育ててくれたお父さんを安心させてあげたいからこその、想いなんだと思う。
 私はそんな眞紀人くんの思いを叶えたいと思った。 もちろん、助けてくれたお礼というのもあるけど。
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