【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
「父さん……俺さ、本当に大好きなんだ。菫花さんのこと」
もちろん、あの事故のことを引きずってない訳じゃない。 忘れることは出来ないし、忘れることは酷なことだと思っている。
「恋人のフリじゃなくてさ、本当に好きなんだ。……でももう、あんな思いはしたくない」
あの雪崩事故で俺は好きな人を失った。 あの事故で俺は、自分を責めてしまった。
俺がスキーに行こうと提案しなければ、彼女は死ぬことはなかったし、雪崩事故に巻き込まれることもなかった。
そんな俺に父さんは、「お前は何も悪くない。お前は自分を責める必要なんてない」そう言ってふさぎ込んでた俺を抱き締めてくれたんだ。
「俺、もう大切な人を失いたくないんだよ……なあ、父さん」
眠ったままの父さんの手を握り締めたまま、父さんに語りかける。
「父さん……父さんは、自分の人生幸せだったか?」
父さんのことはよくわからないことも多かった。父さんは意外と無口で、ミステリアスな人だったから。
父さんは、後悔してることとかないのだろうか。
「俺は……幸せなんだ、すごく」
あの事故のことを「無理に忘れなくてもいい」と言ってくれたのは、父さんだった。 苦しくなるくらいなら忘れてしまった方がいいと……そう思っていた。
そんな俺に、父さんは「無理に忘れる必要なんてない。 覚えておけばいいんだ」と、慰めるように言ってくれた。
「父さん……ごめんな」
俺は今の父さんに、何もしてやれない。 こんな俺は、完全に親不孝な息子だ。
「俺、父さんの分まで幸せにならないと……だよな」
俺は父さんが安心して眠れるように、菫花さんを紹介したけど……父さんは菫花さんのこと、どう思ってるのだろうか。