その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
「すみません。ネタはなくて……神堂先生にお任せしようと思っています」

そう言った瞬間、彼のまつげがゆるく動いた。

グラスを置く音が、妙に大きく響く。

「ふうん。」

神堂先生は、私をちらっと横目で見た。

「俺に任せる、ね。」

その声音がほんの少しだけ低くて、気が重いのかなと一瞬思ってしまった。

でもすぐに自分の勘ぐりだと打ち消す。

「いえ、ご相談には乗りますし、できる限りご提案も……」

言いかけると、彼の視線がまっすぐ私に刺さった。

「君、恋愛小説得意?」

その言葉に、喉の奥が詰まった。

恋愛――

確かに、今まで私が関わってきた作品は、どちらかと言えば恋愛要素の“ある”作品だったけど、いわゆるド直球の恋愛小説ではなかった。

綾香先生は“恋愛ファンタジー”の人だった。

空想、幻想、ありえないほど純粋な恋。

でも、今、目の前にいる男が求めているのは、もっと――

「……現代、ですよね。」
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