その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
この人は、きっと――

恋愛をたくさんしてきた人だと思った。

その余裕のある物腰も、視線も、言葉の選び方さえも。

一つひとつに、誰かを愛して、誰かに裏切られて、それでもまた恋をしてきた痕がある。

だからこそ、私は黙っていられなかった。

「……あの、お言葉ですが。」

「ん?」

グラスを傾けながら、神堂先生は私を見た。

その目は楽しそうで、どこか試すようだった。

「恋愛をしていない人間も、この世の中にはたくさんいるんです。」

その瞬間、彼は吹き出すように、喉の奥で笑った。

「……クククッ。そりゃそうだ。」

「……はい。」

私は真面目すぎるんだろうか。

でも、そう言わずにいられなかった。

だって私は――

この仕事を真剣にやってきたし、

恋愛がなくても、ちゃんと人の心を想像してきた。

なのに、それじゃダメだと突きつけられるのなら――
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