その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
「そっか。」

神堂先生はグラスを置き、指先を組んで私を見た。

「じゃあさ。俺、書くよ。恋愛小説。」

「……本当ですか?」

思わず身を乗り出した。

それは私がこの三日間、ずっと願っていた言葉だった。

だけど、次の一言が――

私の息を、止めた。

「君が俺と付き合ってくれたらね。」

――心臓が、跳ねた。

何を言われたのか、すぐには理解できなかった。

「……それは、冗談で?」

「本気だったら困る?」

唇の端を上げて、いたずらっぽく笑うその顔に、私は声を失った。

神堂慧。

この男は、本気なのか、冗談なのか。

それすらも曖昧にして、女の心に火を点ける。

危険な男だ。

……でも私は、もう、この物語から降りられない。

でも、“付き合う”なんて。

そんなに簡単に決められるものじゃない。

私はおそるおそる、口を開いた。

「それは……条件ということなんでしょうか?」
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