その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
「それで、登場人物は?」

神堂先生は、カフェラテを一口飲みながら、私に視線を向けた。

「サラリーマンと、OL……オフィスラブってところかなと。」

「いいですね。恋は、身近に転がっているってことですもんね。」

そう言った私の言葉に、彼はただ“うん”とだけ頷いた。

それだけ。

(あれ? もっと食いついてくると思ったのに……)

沈黙が、じわりと広がる。

やっぱり私は、期待外れだったのかな――

そう思いかけたとき、別の声が割り込んできた。

「いやあ、岸本から先生が連載してくれると聞いた時には、まさかと思いましたよ。」

編集長だった。

いつの間にか席に加わっていて、笑いながら腕を組んでいた。

「だって、5年ぶりにうちで書いてくれるんですから。で、担当が岸本。こんな地味で、堅物で、恋愛経験もなさそうな彼女が――」

「編集長っ!」

思わず遮ってしまった。
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