その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
私が声を上げると、神堂先生はグラスを持ち上げながら、ニヤリと笑った。

「へえ、そうなの?」

まっすぐに私を見るその目は、冗談めいているのに、どこか本気のようでもあって。

体の奥が、ぞくりと震えた。

編集長が「じゃ、あとは若いふたりでよろしく」と軽く手を振って去っていったあと、ホテルのロビーには、私と神堂先生だけが残された。

私もそろそろ失礼しようかと思い、立ち上がりかけた、その時。

「次は夜に来い。……ご飯くらい奢るから。」

唐突にそう言われて、私は思わず先生を見た。

なにそれ。

デートの誘い……?

「ん?」

とぼけたように言うその目は、私が反応するのを楽しんでいるみたいだった。

「いえ……さりげなく誘うんですね、と思って。」

「気づいたならいいじゃん。鈍いより。」

それだけ言って、神堂先生はスマホを取り出し、何かを検索し始めた。

そして数秒後――私の社内スマホに、通知が届いた。
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