その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
18時ちょうど。

“レストラン パニエ”の前に立った私は、胸の奥で静かに息を整えた。

(ただの打ち合わせ。ただの、ネタ拾い。)

そう言い聞かせながらドアを開けると――

入り口の横に、すっと背の高いシルエットが立っていた。

「……神堂先生?」

彼は手をポケットに入れたまま、こちらを見て小さく頷いた。

「すみません。お待たせして……」

私が小走りで近づくと、彼は軽く笑って首を振った。

「いや、俺も来たところだから。」

(……そんなドラマみたいなセリフ、実在する人間が言う⁉)

内心ツッコミを入れながらも、妙にドキドキしている自分がいた。

「この前も、私が遅れて……待たせてしまいましたよね。」

少し意地悪なつもりでそう言うと、神堂先生はクスッと喉の奥で笑った。

「別に、女性を待たせるのが嫌なだけだって。」

「……えっ」

その一言に、息が止まった。
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