その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
女性。
私のことを“女”として言った。

“編集者”じゃなく、“資料”でも“観察対象”でもなく――

「じゃ、行こうか。」

何でもないようにドアを開けるその手が、妙にスマートで。

ドアの向こうから香るワインの匂いと照明のやわらかさが、さっきまでの緊張をほんの少し溶かしてくる。

私は、自分の心臓の音が、ハイヒールの音と同じくらい響いている気がしてならなかった。

(私……神堂先生に、女として“見られてる”)

その事実に、どうしようもなく動揺していた。

テーブルに案内されると、神堂先生が椅子を引いてくれた。

小さなことだけど、それだけで妙にドキッとする。

席に着くと、すぐに彼が口を開いた。

「ワインは、飲める?」

「……少しなら。」

そう答えると、神堂先生はすぐさま滑らかにワインリストを開き、ソムリエと流れるように会話を交わしながら注文を始めた。
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