その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
「……えっ? いいの?」

そう言って、神堂先生がぐっと顔を近づけてくる。

まるで冗談のような距離感じゃない。

本気で触れそうな、熱を孕んだ距離。

「ねえ。み・さ・き・ちゃん。」

ひと文字ずつ、確かめるように呼ばれて――

私はもう、限界だった。

(こ、こんなの絶対反則……!)

これはもう、恋に落ちろと言われているようなものだ。

「……あーあ。リアルな恋愛、したいなあ。」

神堂先生の吐き出すその本音に、私の心はもう、とっくに揺れていた。

「先生、一体どんな恋愛をしてきたんですか?」

私の問いに、神堂先生はニコッと笑って首をかしげた。

「ん? 君は?」

そう言いながら、また私の髪に触れる。

その仕草があまりにも自然で、心臓がまた跳ねた。

「……どんな恋をしてきたの?」

「私は……」

言いかけて、ふと思い出す。

あの苦くて、情けなくて、でも確かに“初恋”だった人のことを。
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