その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
その一言の後、神堂先生は私の手を取り――そっと唇を落とした。

「っ……!」

指先に、ぬくもりが伝わる。

「仕事してる手だね。俺は、好きだよ。」

優しい声。けれど、そのまなざしはどこか艶っぽくて。

私はもう、グラスを持っていることすら忘れていた。

ドキドキしていた。

私、今――神堂先生にドキドキしている。

「ふ、普通そんなことしますかっ」

慌てて言うと、神堂先生は穏やかに微笑んだ。

「俺、ネイルとかで手をデコレーションしてる人、苦手なんだよね。」

「……派手な女の人は、ダメなんですか?」

「うん。シンプルに綺麗な人が、いい。」

それは――

地味な私にも、可能性があるということ?

この人は、ただの遊び人なんかじゃない。

ちゃんと見て、ちゃんと選んで、ちゃんと大事にする人なんだ。

そう思った瞬間、胸の奥がキュッと詰まった。
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