その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
心地よくて、温かくて。

私はその音に包まれるように目を閉じた。

「先生、私……」

言いかけて、言葉を止めた。

眠ったふりのまま、心だけがつぶやく。

――恋をしてみたい。

「先生の家に……行ってみたいな。」

ぽつりと、ほんの少し酔った勢いでこぼれた言葉。

先生は、何も言わなかった。

でも、抱き寄せる腕が、すこしだけ強くなった気がした。

本気になるわけない。

そんなのわかってる。

でも――この甘くて危うい夜に、もう少しだけ酔っていたい。

恋するフリで、心まで持っていかれそうになるのは、ずるい。

それでも、先生の温もりに、私はしがみついていた。

「美咲ちゃん。家どこ?」

「ほえっ……」

頭がぽわぽわしてる。目が重たい。

「家……」

「うん、自分の家の場所、分かる?」

ぼんやりと顔を上げると、隣の神堂先生が、じっと私を見ていた。

優しいけど、どこか寂しそうな目。
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