その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
「えっと……」

「……あー、俺、家ここの近くだから。」

先生は視線を逸らしながら、そう言った。

「じゃあ、おやすみね。美咲ちゃん。」

そう言って背中を向けたその腕を、私は咄嗟に掴んでいた。

「えっ? 美咲ちゃん?」

「……もう少し、このまま……」

声が震えた。自分でも、何を言っているのか分からない。

でも、今夜だけは、終わらせたくなかった。

先生の側にいたい。

今はただ、それだけだった。

「だから、そんな事言ったら……」

神堂先生が、ぽりぽりと頬をかく。

――まさか、照れてる?

「先生でも、照れることあるんですか?」

思わず笑うと、先生は私の頭をコツンと軽く叩いた。

「大人をからかわない。」

その仕草があまりに優しくて、なんだか胸が温かくなった。

「先生って、おいくつですか?」

少し黙って、先生はぽつりと答えた。

「……38。」
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