Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

4、愛しい人よGood Night (4/☆)

「俺は別に気にせんかったで」
「……涼ちゃんは気にしなくても私は思いっきり気になったの」
「細かいこと気にすんな」
 むうと唇を曲げる菫子に涼が、からからと笑った。
「体格差があるだけでちっとも似てないのにね。
 どうして間違えられたんだろう」
「見てくれの印象は強いからな」
「お兄さんみたいな涼ちゃんが好きになったけれど
 付き合いだすと兄妹みたいって
 言われるのが死ぬほど嫌になった」
「周りにもずっとそんな感じに思われてたし、まさか俺と菫子が
 付き合うなんて誰も思わんかったやろな」
「涼ちゃん、薫さんと付き合ってたもんね」
 菫子は涼を茶化す。
「薫と付き合ってなかったら確実にお前とは付き合ってなかった」
 涼の言葉が残酷に響くことはない。
 二人は紆余曲折があってここにいる。
 頷く菫子は、窓から外を見やる。  
二人とも過去を後悔なんてしていない。
 積み重ねて色んなことをしった。
「私もそう思う」
 完璧であろうとした女性を受け止められなかった涼は、
 不器用でもくじけない女性を新たに選んだ。
 ずっと側に咲いていた小さなすみれ。
 大輪の花よりも、けなげに咲き誇る花が自分には合っていた。
 菫子は屈託なく笑い、泣き怒る。
 大人ぶらずに素のままで居られる。
 菫子も涼と同じ気持ちだ。
「かっこいいだけじゃなくて
 馬鹿なこともする涼ちゃんだから好きなの」
「菫子らしいわ……誉められてるのかけなされてるのか」
「正直でしょう」
「ああ」
「さてと朝ごはん作ろうね。起きて」
 休日は一緒に朝と昼の食事を作る。
夜は平日と同じく菫子が作るのだが。
「涼ちゃん、後から行くから先に行っててくれる」
「ああ。わかった」
 空返事をされ頬を膨らませる菫子。
 理由が分かっているが敢えて聞かない涼である。
 窓の方に視線を向けている菫子の顔がうっすら赤い。
 肩まで色づいている。
この分だと全身真っ赤かもしれない。
 要するに恥ずかしいのだ。
暗闇の中はともかく陽射しが零れている朝は。
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