Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

5、with you(4)

シャワーを浴びてから、
 着替えると言っていた涼はリビングにいるはずだ。
 昨日お酒飲んで帰ってきてそのまま寝ちゃったから。
 泣き疲れて冷静さを取り戻すと、
気遣いが足りなかったなと自己嫌悪が込み上げた。
 急に朝ごはんのことが気になりだし、作っていた味噌汁を温めた。
 謝ってくれた涼ちゃんの言葉に、
涙が止まった自分は現金そのものだ。
 菫子はふふふと笑い、部屋を出た。
「かっこいい……」
 案の定、涼はリビングにいた。
 黒ジャケットに白いカッターシャツ、下は黒のズボン。
 ジャケットのボタンは留めてない。
 中々ニクいことをする彼に釘付けになる菫子だった。
「菫子もめっちゃ可愛い」
 涼のストレートな言葉に董子の頬に熱が灯る。
「似合ってる? 」
 菫子は照れ笑った。
「うんうん似合ってる。
何か示し合わせたみたいやん。気ぃ合うなあ俺ら」
 涼はとても満足気に笑う。
「そうよね! 」
「難を言うならすみれ、ワンポイント足りんかな」
 涼はものすごく楽しそうな様子で、頭の上に手を置いた。
「なあに?」
「任しとき」
 涼は、ソファーに置いた紙袋から、
 黒いリボンを取り出してきて菫子の頭に巻いてゆく。
「これでええかな。髪の下で結んであるから取れんやろ」
 見た目はカチューシャっぽい。
 思わぬプレゼントに菫子は、素直な反応を返す。
「素敵……ありがとう」
「どないしたん?」
 俯き加減になった菫子に涼が、腰を屈めて視線を合わせる。
 背伸びをすると菫子は首が痛くなるので、涼が腰を屈めることが多い。
「え、えっと可愛いけど私には可愛すぎるかなって」
「どうやったら自分の今の装いが、
 引き立つか学んだ方がええな。
 折角似合う格好してるんやし」
「う、うん」
「素直でよろしい」
 涼は菫子の頭を大きな掌で撫でると、
菫子は照れたように顔を赤く染めた。
「子供が生まれる頃には伸びてるかな」
「今度は涼ちゃんに黙って切らないから。
 残念そうにつぶやくあなたを見ていたら、
 幸せな気分になったわ。
 愛されてるって実感が沸いたの」
 しみじみ呟く菫子に涼は愛しさが込み上げていた。
 さらさらの髪を撫でながら
「行こか」
 と微笑む。
 どちらともなく手を繋いでマンションの部屋から出た。

「菫子、落ち着け」
 きょろきょろと落ち着かない様子で、
店内を見回す菫子に涼は苦笑いを浮かべた。
「分かった」
 普段は、滅多に高級レストランは来ないから慣れてないのだ。
 薄暗い店内は、ほのかな光に照らされてる。
 遊園地→映画→喫茶店→レストランが本日のコース。
 朝食が遅めだったので昼食は取らず、
遊園地に行ってからお茶をした。
< 105 / 145 >

この作品をシェア

pagetop