Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

5、with you(5)

 遊園地は某有名なネズミの国だ。
 二人揃って耳帽子を買ってしまった。
 帰宅したら家で被って遊ぶに違いない。
 菫子はメニュー表を見ながら、涼に恐る恐る聞く。
「これ食べてもいい」
「ええに決まっとるやろ。連れてきたんやから」
 くすくすと笑う涼に菫子も微笑んだ。
「このコースにするわ」
「俺はこっちかな」
 お互いのメニューを見せあい、店員を呼ぶと注文をする。
 一品一品運ばれてきた料理は綺麗に盛り付けられていて
 視覚的にも楽しませてくれた。
 最後に出てきたデザートは、菫子が
ブッシュ・ド・ノエルで涼が苺のショート。
 涼は、何故か苺をフォークで
突き刺し菫子に見せつけて食べていた。
 意味深な仕草に、艶を感じ目をそらしてしまう。
「美味しかった」
「なら良かった」
 ナプキンで口元を拭うと立ち上がる。
 涼が支払いを済ませ、レストランを後にした。
 帰宅するなり菫子は涼にした仕打ちを思い出し赤面する。
 とんでもないことをやらかしていたのだ。
「涼ちゃん、痛くない? 大丈夫? 」
「……遅っ」
「ごめんなさい」
「ええって。とっくに痛みは引いたから」
(そう言われても心配だわ)
「さすってあげようか? 」
「マジで言ってますか」
涼はにやっと笑い、腕を組んだ。
「うわ。違う! 」
 無意識で言っていた為余計恥ずかしさが込み上げる。
 菫子は地下室があれば潜りたいと本気で思った。
「疲れたなあ。風呂入りたいわ」
「沸かしてくる」
「一緒に入ろうな」
 菫子はこっくりと頷いてバスルームに急いだ。
 お湯が溜まったのを確認して涼を呼ぶ。
 自分のを脱いだ後、タオルを巻いた涼が笑顔で、
「はい、ばんざいして」
 なんて言ってくるから、反応に困った菫子である。
「もうすぐママになるのに子供扱いなんて失礼しちゃう」
「菫子を見てると保護欲くすぐられるんや。
かまってやらなきゃって、感じさせる何かがあるというか」
 色めいたニュアンスは欠片もない。
 遊んでいるだけ。その証拠に涼は冗談っぽく笑っている。
「いいから先に行ってて! 」
 菫子は、涼を浴室に追い込むとするっと服を脱いでいった。
 ガラガラとドアを開けると、泡だらけの頭が目に飛び込んでくる。
 広めのバスタブだが、二人で入ったらぎゅうぎゅうだ。
 自然と、大きなだんな様が小さな奥様を抱え込むことになる。
 二人とも洗い終えると、一人ずつ浴槽に浸かった。
「涼ちゃん、本当はいつから起きてたの?」
「ずっと寝真似こいてたわけやないで」
 涼がそれ以上は言ってくれないから、
菫子は考えてみることにした。
< 106 / 145 >

この作品をシェア

pagetop