Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

番外編「Sweet night(☆☆)」(5)

「あ」
 トナカイの頭をかぶったままだった事実に呆れる。
 二人ともすっかり忘れていたけど、お互いサンタである。
 慌ててトナカイの頭を外した涼ちゃんが、さっと髪を掻きあげる
 その姿を食い入るように見てしまった。
 うそ、信じられない。
「どした?」
「涼ちゃんが、ありえないくらいかっこよく見えたから。
クリスマスマジックって偉大ね」
 かっこいいに力を込めたことを分かって!
 どうやら、願いは通じたみたい。
「ありがとなー。うわ舞い上がりそう」
「きゃあ」
 え、えっ。
 軽々と抱き上げられて、リビングのドアが蹴破られる。
 バスルームのガラス戸が開いた。
 サンタドレスのままバスルームの中に連れてこられ、なす術もない。
 涼ちゃんがドア越しに通せんぼしてるから逃げられない。
 鍵が閉まっちゃった。
 涼ちゃんもグラスに半分も飲んでないし、酔ってはないと思うけど。
喉が鳴る音が聞こえた気が。
 人を食べものみたいに、この野獣!
 睨んでやるが、堪(こた)えた様子はない。
「そんなんせえへんかってもかわいいのに」
「メイクは強くなる魔法をくれるの」
「ふうん。前もゆうてたな」
「唇はどう? 」
 ぷるぷる感を意識したんだけど。
 息を吸って、吐く間に唇が奪われる。
 素早かった。
「んっ……」
 乱れる息の中、
「さっきのでまだ気づいてなかったんや」
 目元がとろんとなっている。
 アルコールが入っているからか、キスだけですでに上せそう。
 唇の色が褪せちゃう気さえした。
 胸元を肌蹴(はだけ)られて、襟元をくつろげられる。
 私の全身を見てはっと目を見開いた涼ちゃんに、うつむく。
 そうだよ、おそろい着てたんだ。
 セットで売ってたから、どきどきしたけどこれしかないと思った。
 立っていられない私を涼ちゃんがバスタブの中に下ろす。
 上着を脱ぎ放って、向かい合う。
 なぞった唇が、耳元に吐息を残す。
 甘い声が漏れてしまう。
「……最初からそのつもりだったの?」
「どうやろ? 」
 嘯いた涼ちゃんは、じいっとこっちを見ていて
 一瞬たりとも目を離さない。
 くてん、と力をなくして、腕がバスタブの縁に当たる。
 はあはあと息を吐き出す。
 半眼で見つめて、腕を伸ばして口づける。
「と……うこ? 」
 濡れた唇が、ぞくぞくと痺れるようで。
 胸が高鳴っていた。
 受身だけじゃない夜にしたいって。
 いきなり首筋に押し当てられた唇は強く、
 思わず耳を塞ぎたくなるほどの音が聞こえる。
「素直でかわいい。俺が、こんな風にしたんや。
自惚(うぬぼ)れとちゃうもんな」
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