Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

番外編「Sweet night(☆☆)」(7)

「やるな……」
 涼ちゃんが、嬉しくて踊りだすんじゃないかと思ったくらい。
 背中を震わせているから、私も返せたらしい。 
 今夜は受身なだけの自分から卒業する。
 自分からも愛するように。
 涼ちゃんは今までで一番意地悪で、多分これからも
 意地悪なんじゃないのかしら。
 それでも優しさの上のいじわるだから、安心して任せられる。
 一緒に往こう?
 私が上げる声に彼も興奮して感じてくれているのなら、
 満ち足りた気持ちが膨らむ。
 やっぱり恥ずかしいけど、幸せな気持ちが大きいから
 この時だけはどんな自分も見せてもいいの。
 ……後でちゃんと言おう。
 でも調子に乗って意地悪されちゃうかな。
 でもほんとうの意地悪じゃないし。
 朦朧とする意識の中で、クライマックスへと向かう。
 導かれた先で何もかも真っ白になる。
 痺れた手足を投げ出す。
「愛してる……菫子」
「……っ……涼ちゃ……あいしてる! 」
 枯れた声で互いの名前を愛の言葉を叫んだ。
 くっついて溶けてしまえればいいって、いつも思う。
 強く腕を絡ませあって登りつめた。

 ちゃぷ。お湯を溜めたバスタブの中で向かい合う。
 花の香り。
 テーブルのポインセチアを勿体無いかもと気が引けつつ浮かべた。
 アルコールには酔うことなく、お互いに酔った。
 もう次の日です。クリスマス。
「涼ちゃん」
「何や、菫子」
「何でもない」
 なんか、温かくって、ほわほわした気分だった。
 疲労感より、充足感がある。
「すごい奉仕精神やったな」
 にんまり笑われ、耳まで真っ赤にしながらぼそぼそと言った。
「…… 私だって何かしたかったの。
 涼ちゃんの全部から、愛しているって伝わってくるから、
 私も伝えなきゃって。だから、頑張る」
 言っちゃった。
「それって殺し文句やで。菫子は天然タラシ決定」
「何それ」
 タラシじゃないわよ。
 ありのままの想いを伝えたにすぎないわ。
 ふふ。なんかすっきりした。
 笑ってお湯をかけるとかけ返される。
 ばしゃばしゃ。子供みたいにはしゃいで、笑って。
「ああ、もう大好きや」
「りょ、涼ちゃん!? 」
 いきなりきつく抱きしめたられたから、腕の中でもがいた。
 苦しいってば!
 いちゃいちゃしすぎじゃないの!
 しょうがないから許してあげるわなんて、
内心では高飛車な発言をしながら動揺(どうよう)を黙らせる。
また鼓動が早鳴っていた。
 しばらく、ばくばくする心臓を宥(なだ)めた後、
 涼ちゃんの耳元に、小さく呟いた。 
「うん、私も大好きよ、涼ちゃん」
 ゆっくりと、自然に唇を重ねた。
 メリークリスマスって呟きながら。
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