Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

番外編「初詣での遭遇、ふいうちのキスとバレンタイン」(6)


 バレンタイン当日、私はキャンパス内で涼ちゃんを待っていた。
 今日はそんなに寒くなくてよかった。
 運命の再会をした場所で、彼を待っていると
 期待に満ちて顔で現れた。
「ここへどうぞ」
「ありがと」
 ぽん、ぽんと手で示した場所より距離を詰めて涼ちゃんは座った。
「緊張するので離れてほしい」
「なんで。これからチョコを受け取るんやし
 そばやないとあかんやろ」
 受け取るのは彼の中ですでに決まっているようだ。
(あげるっていったけど!)
「さすがに駄菓子じゃかわいそうかなってちゃんといいやつよ」
「別に駄菓子でもええけど?」
 おかしそうに言い笑い出した涼ちゃんにチョコレートの入った箱を突き出す。
 膝の上に押し付けたら面食らっていた。
「……こんな渡し方するなんて予想外や」
 笑いすぎて涙目になっている。
(失礼な!)
「渡し逃げはずるいで」
 立ち上がろうとしたら手首をつかんできた。
「ちょっと立っただけよ」
 結局、材料を買って作ってしまい、
 重くないか不安になった。
「めっちゃ嬉しい。こんな無限大の愛が込められた手作りチョコを
 もらったの初めてや」
 ベンチに座りなおしたら手首の力が緩む。
「手をお離しください」
 なぜか丁寧語になっていた。
「嫌や」
「っ……!」
 私って隙だらけなんだ。
 抱きしめられた腕の中で息をつく。
 見上げた顔は、とても嬉しそうでこちらも嬉しそうになった。
「ホワイトデーと次の日は、
 大学以外の予定は全部俺と過ごして」
 脳裏に疑問符が浮かぶが、
 懇願にも似た響きに了承していた。
「はい」
 頭を撫でられる。

 この一か月後、涼ちゃんと結ばれて
 恋人同士になった。
 二十歳になって涼ちゃんと同じ朝を迎えた。

 




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