Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

外伝「あの日の二人と妹弟」(3)

「あの二人は菫子ちゃんの大ファンだからね!
 篤紀と健太が菫子ちゃんと早く出会えててうらやましい。
 三年分長く付き合いがあるわけでしょ」
「俺より一年早く知り合ってるしな」
「菫子ちゃんって、みんなに好かれるよな。
 涼兄の前の交際してた人とも仲がいいって聞いたし。
 人徳なんやろな」
「みんながいい人なのよ。私も結構くせものだからね」
「こんなめんこいくせものなら大歓迎や。
 飛行機降りたら手ぇ繋いで歩こ!」
「……飛行機降りたらランチまで別行動やで。
 集合する店の情報はスマホから送る」
 涼ちゃんは冷静に伝えた。
「……チッ」
「咲来姉、偶然会うこともあるから」
「爽、姉ちゃんがクレープでも奢ったるわ。
 スイーツでもなんでも」
「咲来姉は失恋で傷心旅行だから、
 かわいい弟が慰めてあげるよ」
「そんなん言う子には何もなしや」
 そんなやりとりをしていたらあっという間に
 目的地の空港まで到着した。
 新幹線ならもっとかかるが飛行機はあっという間だった。
(所要時間、経費を考えて飛行機にしたけど次は新幹線でもいいかも)

「……まずポートライナーに乗って三宮。 
 そこからJRで須磨やな!」
 空港に着いた途端、地図アプリでルート検索をした
 咲来がこっちに見せてきた。
「めっちゃ張り切ってるな……。
 そんなん菫子以外、みんな知ってるし」
「気合いは大事なんよ」
「お昼はホットドッグ食べようよ。
 商業施設でおやつ食べることにして」
「駅に近いからいいわね」
 涼ちゃんは、なんだかんだ実のきょうだいと
 一緒の旅行を楽しんでいる。
 嫌がられるのに爽くんの頭を撫でていた。
 私も撫でてみたら照れ笑いしただけだった。
「……涼兄の手はでっかいんだよ。
 俺もその内似たような感じになるんだろうけど」
「あら」
「菫子姉ちゃんがお姉ちゃんになるまであと三か月かー」
「楽しみやわ!」
「俺が菫子を射止めたおかげやけど」
 じっ、と見上げる。
 ちょっと目元が潤んでにらみつけてしまったかもしれない。
「あのね。姉弟の前でのろけるの恥ずかしいからやめた方がいいわ」
「そんなん今更やん。
 この旅行を一番楽しみにしてたの菫子やろ」
「……少しだけ別行動しよ。行こ」
 爽くんが咲来の腕を引く。
「時刻表見て三宮行きに乗ってね。
 循環してるから、三宮行きに乗れば大丈夫!
 地下鉄とか乗りなれてるし平気よね」
「わかったー!」
 爽くんが元気よく返事し手を振ってくれる。
 お姉ちゃんの咲来がいるし爽くんも安心だろう。
 私はホットドックショップの情報を咲来と爽くんそれぞれに送った。
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