Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)
外伝「あの日の二人と妹弟」(6)
「……覚えてない」
「私は高3の時、失恋してその傷も癒したくて草野球を見に行ってたわ」
「健全でかわいい。さすが俺の惚れた女や」
「からかったら音速ビンタするんだからね!」
「そんな脅しに屈する俺だとでも?」
ぎゅーっと絡められた腕の力が更に強くなった。
「く、くるしい……」
くるり、腕を引かれる。
間近から見下ろされてきょとんとした。
(根掘り葉掘り聞くようなことでもないわね)
「薫さんと付き合っている時、健全?だったのは腑に落ちないのよね」
「ピュアで健全な乙女には聞かせたくないなあ」
あきれたようなため息がもれる。
「だって涼ちゃん、プラトニックでいいタイプじゃないし」
(私もよく言うわ。
踏み出せてなかったら付き合えずに終わってたじゃない)
「ぶは……そんなん付き合う相手によるんやで」
顎を掴まれる。
キスされるかと身構えたら、ふいに顔を背けられる。
「……デリカシーにかけてました。ごめんなさい」
「ええけど」
涼ちゃんの顔が耳まで真っ赤だったのは意外な一面が見られたと思った。
「一枚取った思ってるんなら、勘違いや。残念ながら」
「ん?」
いきなり横抱きにされ、胸元をぽかぽか殴る。
「涼ちゃんは同時に何人もと付き合えないし、
浮気はしない誠実な人よね。
それは知ってるの」
首筋に腕を絡め頬を摺り寄せる。
「いや、それ人として普通やん。
もし性別違う相手でも二人と付き合ってたら、クズやし」
「うっ……だからね」
「……結婚前に色々勉強したみたいやな。
虫も殺さん恥じらう乙女の風情で、人の度肝をつくことするんやから」
「今後のためなのよ。
だって子供ができたら、そういうのできないじゃない」
「……その間の俺を心配してくれてんのか。
健気な奥さんやな?」
「まだ奥さんじゃありません」
「近い未来にそうなるやん。
菫子は俺以外とそういうことできるって?」
「できない」
地元から離れてはしゃいでいる自覚はある。
そろそろこの海岸から移動しなければ。
(きわどい会話に終止符を打って)
「刺激強いかもしれんで?」
前置きした後で彼は、唇を開く。
ちょっと歪めているのが気になった。
耳打ちされた言葉に全身が沸騰するかと思った。
「……そ、そうだったんだ」
「聞かん方がええことも世の中にはあるってことや」
からかわれて終わった。
きっとこの人には一生かないそうにもない。
「私は高3の時、失恋してその傷も癒したくて草野球を見に行ってたわ」
「健全でかわいい。さすが俺の惚れた女や」
「からかったら音速ビンタするんだからね!」
「そんな脅しに屈する俺だとでも?」
ぎゅーっと絡められた腕の力が更に強くなった。
「く、くるしい……」
くるり、腕を引かれる。
間近から見下ろされてきょとんとした。
(根掘り葉掘り聞くようなことでもないわね)
「薫さんと付き合っている時、健全?だったのは腑に落ちないのよね」
「ピュアで健全な乙女には聞かせたくないなあ」
あきれたようなため息がもれる。
「だって涼ちゃん、プラトニックでいいタイプじゃないし」
(私もよく言うわ。
踏み出せてなかったら付き合えずに終わってたじゃない)
「ぶは……そんなん付き合う相手によるんやで」
顎を掴まれる。
キスされるかと身構えたら、ふいに顔を背けられる。
「……デリカシーにかけてました。ごめんなさい」
「ええけど」
涼ちゃんの顔が耳まで真っ赤だったのは意外な一面が見られたと思った。
「一枚取った思ってるんなら、勘違いや。残念ながら」
「ん?」
いきなり横抱きにされ、胸元をぽかぽか殴る。
「涼ちゃんは同時に何人もと付き合えないし、
浮気はしない誠実な人よね。
それは知ってるの」
首筋に腕を絡め頬を摺り寄せる。
「いや、それ人として普通やん。
もし性別違う相手でも二人と付き合ってたら、クズやし」
「うっ……だからね」
「……結婚前に色々勉強したみたいやな。
虫も殺さん恥じらう乙女の風情で、人の度肝をつくことするんやから」
「今後のためなのよ。
だって子供ができたら、そういうのできないじゃない」
「……その間の俺を心配してくれてんのか。
健気な奥さんやな?」
「まだ奥さんじゃありません」
「近い未来にそうなるやん。
菫子は俺以外とそういうことできるって?」
「できない」
地元から離れてはしゃいでいる自覚はある。
そろそろこの海岸から移動しなければ。
(きわどい会話に終止符を打って)
「刺激強いかもしれんで?」
前置きした後で彼は、唇を開く。
ちょっと歪めているのが気になった。
耳打ちされた言葉に全身が沸騰するかと思った。
「……そ、そうだったんだ」
「聞かん方がええことも世の中にはあるってことや」
からかわれて終わった。
きっとこの人には一生かないそうにもない。