Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)
13、声を聞かせて(3)
強気に言えば少し元気になれた。
部屋の掃除を終えて、洗面所に向かう。
洗濯機が止まっていたので、中から洗濯物を取り出した。
下着、ワイシャツ、ジーンズ、靴下が三日分くらい溜まっていた。
「……こんなの履いてるのね。ちゃんと確認したことなかったけど」
菫子は顔を赤らめた。
まとめて籠に入れると、部屋へ向かい歩き出した。
さすがに、日が暮れているので室内干しの方が良いだろう。
室内に物干しを入れて、洗濯物を干す。
外に干しっぱななしだった洗濯物は空いた籠に入れた。
菫子に贈ってくれた苺が散りばめられたコットンのパジャマも取り込む。
(涼ちゃんってば、同棲していると怪しまれても仕方がないじゃない)
涼の物に勝手に触れて、後で場所が分からなくなったら困るのでベッドの上に置き、
菫子のパジャマは、籠(かご)の中に入れたままにした。
台所で食器を片づけ始める。
ふた皿ずつ同じ柄の皿があるけれど、これは菫子が訪れるようになる前からあったのか。
一つずつ、グラス、皿と食器棚に並べていく。
どこにしまえばいいのか分からないので適当だ。
後でまた聞いて直せばいい。
ふと見れば、いちごのマグカップは食器棚の一番下にふせてあった。
「……涼ちゃん」
菫子専用の物は大事に扱ってくれている=
菫子自身も大切にしてくれていると考えるのは自惚れなのか。
そこかしこに涼の気配を感じる。
彼がいないのが不思議なほどだ。
掃除やら洗濯をしていて、忘れかけていたが本来の目的は、着替えを取りに来たのだ。
ぱたぱたと寝室に行き、チェストの引きだしから上下の服を取り出す。
何を持っていけばいいのか分からないので、菫子の好みで選んだ。
パジャマと、後はよく着ていた恰好を思い出しながら、一通り紙袋に詰めた。
ずしりと重い袋を提げて、部屋を出る。
鍵を掛けて、振り返る。
「お邪魔しました」
また呟いて、足早に涼の暮らすマンションを出た。
病室に戻ると、椅子に座っていた涼の母が立ち上がった。
「ありがとう、菫子ちゃん」
にっこり笑って荷物を受け取って、菫子に座るよう勧めた。
「ちょっと片付けとか掃除してたら遅くなっちゃいました」
「悪いわね。本当にこの子も何で起きないのかしらね」
「先生によれば、脳にも異常はなかったそうですし、
怪我も肩と腕を骨折してしまってますけど、命に関わるものではないんですよね。
意識が戻らないのが変なんですよ……」
首を傾げる菫子に涼の母は、すっと涼の顔をさし示した。
部屋の掃除を終えて、洗面所に向かう。
洗濯機が止まっていたので、中から洗濯物を取り出した。
下着、ワイシャツ、ジーンズ、靴下が三日分くらい溜まっていた。
「……こんなの履いてるのね。ちゃんと確認したことなかったけど」
菫子は顔を赤らめた。
まとめて籠に入れると、部屋へ向かい歩き出した。
さすがに、日が暮れているので室内干しの方が良いだろう。
室内に物干しを入れて、洗濯物を干す。
外に干しっぱななしだった洗濯物は空いた籠に入れた。
菫子に贈ってくれた苺が散りばめられたコットンのパジャマも取り込む。
(涼ちゃんってば、同棲していると怪しまれても仕方がないじゃない)
涼の物に勝手に触れて、後で場所が分からなくなったら困るのでベッドの上に置き、
菫子のパジャマは、籠(かご)の中に入れたままにした。
台所で食器を片づけ始める。
ふた皿ずつ同じ柄の皿があるけれど、これは菫子が訪れるようになる前からあったのか。
一つずつ、グラス、皿と食器棚に並べていく。
どこにしまえばいいのか分からないので適当だ。
後でまた聞いて直せばいい。
ふと見れば、いちごのマグカップは食器棚の一番下にふせてあった。
「……涼ちゃん」
菫子専用の物は大事に扱ってくれている=
菫子自身も大切にしてくれていると考えるのは自惚れなのか。
そこかしこに涼の気配を感じる。
彼がいないのが不思議なほどだ。
掃除やら洗濯をしていて、忘れかけていたが本来の目的は、着替えを取りに来たのだ。
ぱたぱたと寝室に行き、チェストの引きだしから上下の服を取り出す。
何を持っていけばいいのか分からないので、菫子の好みで選んだ。
パジャマと、後はよく着ていた恰好を思い出しながら、一通り紙袋に詰めた。
ずしりと重い袋を提げて、部屋を出る。
鍵を掛けて、振り返る。
「お邪魔しました」
また呟いて、足早に涼の暮らすマンションを出た。
病室に戻ると、椅子に座っていた涼の母が立ち上がった。
「ありがとう、菫子ちゃん」
にっこり笑って荷物を受け取って、菫子に座るよう勧めた。
「ちょっと片付けとか掃除してたら遅くなっちゃいました」
「悪いわね。本当にこの子も何で起きないのかしらね」
「先生によれば、脳にも異常はなかったそうですし、
怪我も肩と腕を骨折してしまってますけど、命に関わるものではないんですよね。
意識が戻らないのが変なんですよ……」
首を傾げる菫子に涼の母は、すっと涼の顔をさし示した。