Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

epilogueおまけ 「×××(キスキスキス)」☆☆


 ずっと一緒にいたいと願った人と共に迎えることができた聖夜。
 カーテンの隙間から零れる朝の光の眩しさに目を細める。
 ベッドを抜け出してカーテンを開けると
 すべてを塗り替えるような白が目に飛び込んできた。
「綺麗」
 去年のクリスマスは、菫子(とうこ)と涼(りょう)と伊織(いおり)
 の三人でクリスマスパーティーをした。
 彼は内心二人きりがよかったんだろうけど、
 薫と別れたばかりなのにけじめついてない気がしたから、断固(だんこ)三人で!と主張した。
 伊織は、二つ返事でOKしてくれた。
 友達三人での賑やかなクリスマス。
 カラオケに行った後、菫子の部屋に集まってケーキを食べて、楽しいひと時を過ごした。
 今年のクリスマスイヴは、初めての二人きりのクリスマス。
 同じ夜は何度となく越えたけれどクリスマスはやはり特別で、気持ちも違った。
 ベッドライトの薄明かりだけに照らされて寄り添い合っていた。
 窓から見える景色は真っ白な世界が広がっている。
「くしゅん」
「寒いんやろ?」
「へ、平気」
 隣には涼がいる。
 シーツを被って巻きつけてるだけの格好で。
我に返ると照れるからどうにか平静を保とうと必死だったが
 表に出ているかは自信がなかった。
「雪の上に光が降りてるみたい」
「あの白が反射してるから余計明るいんやな」
 いきなり、触れたそこから電流が走った。
「ひゃあ」
「ん?」
「だって……」
 からかって笑われるのに違いないから、菫子は、むっと口をつぐんだ。
 肩がふいに触れて心臓がどくんと跳ね上がったのだ。
 昨夜……いやほんの数時間前までの情熱的な時間が
 まざまざと蘇って、頬が火照(ほて)り全身にまで火が灯っていく気がした。
 額、頬に唇が降りてきて首筋にちくりと甘い感覚。
「りょ……うちゃん」
 あの波に攫われる予感。
 どきどきとうるさく鳴る心臓は、彼に再び愛されることを待ち望み
 期待しているから。
 ひょいと抱えられて、ベッドの上に横たえられる。
 気づけば自分の頭の横に涼の頭があって、耳元から首筋に淡い熱が走る。
 ゆっくりと誘われていく。
 肌を指が辿る度、動悸がどくんどくんと鳴った。
 指を噛んで、身悶える。
「また写真撮ろうかな」
「や……やめてよ……ド変態」
「冗談や。俺の瞳と心にだけ焼きつけとくことにする」
 リップノイズ。
 触れては離れる唇がもどかしくて、強請るように突き出す。
 指が、唇に触れてこじあけた。
 キスをし、湿ったそれが糸を引いた。
 奇妙な快感が、目覚めて体を燃え上がらせる。
絡めて、送り合う熱い雫。
 息が上がり、火照りをごまかせない肌が、涼を求めて騒いでいた。
「ええ感じに色づいてるで」
 揺さぶられて、体ごと揺れた。
 唇と長い指が、肌の上を行きかい菫子の感じる場所ばかりを攻めた。
 声とはいえない喘ぎが、響いて煽られるように涼の行為も一層激しくなっていく。

 声を上げて、崩れ落ちた時長い腕に抱きとめられていた。

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