Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

epilogueおまけ 「×××(キスキスキス)」(2/☆☆)



 髪を梳かれているのに気づいてぼんやり眼を開ける。
 欲情に濡れた瞳が、菫子を射抜き、絡め取った。
 焦がれて、欲していたのだろう。
 お互いに視線を交わして頷いて抱擁した。
 鋭い衝撃とともに、涼を受け入れる。
 はじめはゆっくりだったが菫子の声のリズムが変わるのにつれ、涼の動きも早くなっていく。
 荒い息を貪るキスで封じて、夢を見るようにお互いの世界に没頭(ぼっとう)していた。
「……やっぱ綺麗や」
「ん……涼ちゃんの腕の中でだけ綺麗になるって言ったじゃない」
「ほんま、ニクらしい女やな」
「っ……や……」
「ええんやろ」
 試す動きに、思考があやふやになる。
 夜を重ねる度に、彼は饒舌(じょうぜつ)になった。
 愛し合っている時は普段よりおしゃべりではないが、
 絶妙のタイミングで話しかけてくるから性質(たち)が悪い。
 狙っているとしか思えなかった。
 ぎゅっ、と手のひらを絡め合わせる。
 荒波の中、二人で打ち上げられる。
 二度目の行為は、登りつめるのも早く、
 最初よりも気がおかしくなりそうだった。
 


(眠いなんて言ったら子供扱いされるよね。
 だけど眠い。お腹いっぱいな上にアルコールまで摂取しているんだもの)
 二人で食べきるにも大きいサイズのケーキをしっかり平らげ、
 シャンペンまで飲み干してほろ酔い加減で、ほろかに頬を染めていた。
 菫子の部屋より幾分広い涼の部屋でクリスマスパーティー。
 口いっぱいにチキンを頬張り、頬に生クリームまでつけた姿で、
 涼がにっこり笑う。
 こちらを見てつんつんと指を指している。
「何が言いたいの? 」
 ぐいと引き寄せられ、顔と顔が接近する。
 唇が涼の頬を掠めていた。
 触れてしまったら開き直るしかない。
 そのまま唇を押付けて、クリームを舐め取ると涼はえらく満足気に髪を撫でた。
「来年はもっと積極的になってくれることを期待」
「無理」
「俺はこんなに積極的に愛を示してるやろ。
 恥ずかしがらずに素直になろな」
 唇が奪われる。生クリームの甘い匂いが広がる。
 イチゴの甘酸っぱい味なんてとっくに消えていた。
 絡められた激しい熱に、翻弄(ほんろう)されていく。
 この行為に夢中になる。
 必死で涼ちゃんのセーターの袖を掴んだ。
 二年前……大学一年の頃は、こうして涼ちゃんといる未来を想像できただろうか。
 友達ではなく恋人として。
 兄のように頼ってしまったり、
 情けない姿に一緒にいて支えてあげたいと思ったり、
 とことん飽きない。
 かっこいい所もあればへたれだったりする。
 色んな面があって面白味があるからずっと一緒にいたいって感じる。
 過去を回想している隙に、涼が菫子に迫って来ていた。
 いたって真顔で、顎に触れ奪い去ろうとしている。
 着ている物から心まで全部。
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