Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

4、愛しい人よGood Night (2/☆)

 数え切れないくらい夜を共にしたはずなのに、
 初めての時の気恥ずかしさを感じている。 
 大好きな人だから。それ以上の説明はできない。
「うん。ぬくい」
 涼も彼女に出会って初めて本当の温もりを知った。
 付き合う以前の大切な友達だった頃からずっと、変わらない。
 彼女は友達だった頃から一途に自分を思っていてくれた。
 たまには喧嘩だってするけれど、それでいいのだ。
 本音でぶつかり合うことでお互いのことを知ることができる。
 全部理解し合えなくても、何も話さず鬱憤を溜めるよりいいのだ。
 疲れていてもちゃんと会話をし、同じベッドで眠る。
 二人で決めたルールは未(いま)だに守られている。
 一つ約束を破れば、また一つとルーズになっていくから。
 涼は頬をすり寄せ、しっかりと抱きしめる。
 だがそれ以上は何もしない。
 無言の沈黙が二人を支配している。
 そして暫くの後、菫子が唇を震わせた。
 頬を染めた表情から彼女の気持ちはくみ取れたが、
 少し遊んでみたいという嗜虐心が首をもたげた。
「だ……」
「だ?」
 涼は意地悪に聞き返した。
 滅多に聞けないのだから聞いてみたいという思いがある。
 菫子が口にするまで行動に移さない辺り徹底していた。
 素直にさせてやろうと。
 抱きしめるだけの行為は、涼ももどかしさを感じている。
 腕の中の小柄な妻もそろそろじれったくなってきているはずだ。
(そろそろ限界なんやろ?)
 涼は、ふうっと耳に息を吹きかけた。とどめである。
「っ」
 案の定(あんのじょう)菫子はびくっと反応を見せた。
 涼は、ますます抱く腕に力を込めた。
 菫子の腕が涼のパジャマの袖をぎゅっと掴む。
 切実な想いが宿っているような。
「いじわる」
「俺が聞きたいのはそんな言葉やないで」
「声が笑ってるわ」
「ああ。笑ってるで」
 状況を楽しむ余裕なんてそもそも最初からない。
 かわいい菫子の反応を見るのが楽しい。
 今更恥ずかしいのだろうが、それを言わせるのが男の醍醐味というもの。
 涼は、辛抱強く耐えていた。
「抱いて……お願い」
 菫子は目を潤ませしっかりと抱きついてきた。
 背中に立てられた指が絡め合わされて結ばれる感触が伝わる。
 涼は、目を瞠る。
 柔らかな体全体が叫んでいる。
 触れて。私を感じて。あなたを感じさせて。
 ちょっと意地悪に彼女に揺さぶりをかけるのも
 こんなに、かわいらしい姿が見られる故(ゆえ)だった。
 いつだってひたむきな想いをぶつけてくる菫子が見たい。 
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